スザクはあれから何度かリウ゛ァルに連れられて色街に来ていた。
あの日、一人の花魍に出逢う事で、スザクは花街に来ても、他の花魍以外に目が向かなくなってしまっている。
出会ったと言ってもただ同じ部屋に居ただけ。
相手は遊郭内でも1、2を争う花魍。
明らかに逢いたいと思いすぐに逢える相手ではなかった。
「やっぱミレイさんは綺麗だよな〜姐御肌で慕ってる子も多いって聞くから性格も悪くないんだろうな〜」
リヴァルが熱をあげているのはミレイ。
ミレイもかなり格が高い。
格が高いが面倒見は良く、気取らない性格のためか慕っている見習いも多いのだ。
「スザクくんはルルちゃんが良いのよね?残念だけど、ルルちゃんは滅多に出てこないわよ?」
ミレイは豪華絢爛な着物を引きずり、スザクに近付いてきた。
赤地に大きく大輪の花が咲き乱れる着物はミレイにとても似合っている。
この店ではスザクがある花魍に夢中である事が少し有名になっていた。
ちなみにスザクが気にする花魍、ルルーシュと言う名前らしいが、ルルーシュは滅多に人前に出てこない。
本当に大事な客か、もしくはミレイが無理矢理に引っ張り出さないと座敷には上がらないのだ。
「それは承知しています」
スザクは分かっていた。
自分が逢える相手では無いことも、滅多に人前に出てこない事も。
それだから余計に気になってしまうのかも知れない。
「若いっていいわね〜」
ミレイは自分も若いくせに、猫の様なセクシーな雰囲気でそう茶化して笑う。
しかし、不意に真顔に戻った。
そして内緒話をするように小さな声で、スザクに尋ねる。
「ねぇ、本気でルルーシュを愛してくれれる?絶対に移ろ気なんて起こさない?
絶対って言い切れなきゃ、そうじゃなきゃいくら枢木家の跡取り様の貴方でもルルーシュに会わせたく無いわ」
有数の名家である枢木家を引き合いに出しても軽い気持ちなら会わせたくない。
最後捨てられた時に泣くのは遊女の方なのだから。
ミレイは泣いた女の子たちを沢山知っている。
ルルーシュはミレイの中で特別な存在だ。
特別で大切。
だから傷付いて欲しくなかった。
「僕は真剣です。絶対に…」
『絶対』とスザクが口にした瞬間、ミレイがスザクの唇に人指し指を軽く当てた。
「絶対になんて軽々しく言わないのよ。」
「でも…」
寂しそうなスザクにミレイが優しく微笑み掛ける。
「思い続けたら叶うかも知れないから頑張ってね」
スザクは目を伏し目がちにしながら、ウインクをして去るミレイを悲しい気持ちで見送るのでだった…
=続=
**あとがき**
ミレイとルルの話もちょっと書きたいなとか思って居ます。
何があってミレルルが存在するのかとかね。
07.10.08